特集
GPUドライバを更新したらPCやゲームが不調に?スッキリさせる「DDU」の使い方
2025年6月3日 06:14
新しいビデオカードに挿し替えたら、なぜか画面が点滅したりマルチディスプレイの表示がおかしくなった。あるいはベンチマークテストや実際にゲームをプレイしても、本来発揮されるはずの性能に届かないことがある。もしくは、ドライバをアップデートしただけなのに、ゲームが不調になった。こんな経験があるユーザーは少なくないだろう。
そんな時に検討したいのが、今回紹介する「Display Driver Uninstaller」(以下DDU)である。
このDDUは、NVIDIAやAMD、Intelのディスプレイドライバなどに関するファイルを完璧に削除し、トラブルの原因を根本から解消するツールだ。今回はこのDDUの機能を紹介した上で、必要な準備作業と削除に関する実際の作業を1つ1つ手順を追って解説していく。
チップメーカーが異なるビデオカードの換装は要注意
ビデオカードは映像出力をになう重要なパーツだけに、そのデバイスドライバやユーティリティは、OSと深いところで結び付いている。そのため新しいパーツに交換する際に、トラブルが発生することは珍しいことではない。特にNVIDIAからAMD、AMDからNVIDIAといったチップメーカーが異なる乗り換えを行なう際には、トラブルが起きる可能性は高くなる。
具体的には画面が突然消灯したり点滅したり、マルチディスプレイで使っていた場合には1画面しか表示されなくなったりと、症状はさまざまだ。ビデオカードの性能が低下したり、ゲームが起動しなくなったりすることもあるようだ。
筆者もこうしたマルチディスプレイの症状や、画面がチラチラと点滅を繰り返すトラブルを経験している。その時は「いったん元のビデオカードに戻して」、「ドライバやユーティリティをアンインストールしてから」ビデオカードを換装することで、トラブルが解決した。そうした状況を思い返すと、やはりチップメーカーが異なるビデオカードを換装した時のトラブルだった。
ただWindowsのアンインストールツールだけだと、そうしたドライバやユーティリティは完全に削除されるわけではない。残ってしまった残骸のファイルや設定が、何かしら悪さをするということも可能性としては存在する。
DDUを利用すれば、そうしたファイルの残骸も残さず削除し、そのビデオカードを利用する前の状態に戻せる。DDUは提供しているWagnardsoftのWebサイトからダウンロードできるので、まずはその手順を紹介する。
またDDUでデバイスドライバやユーティリティを完全にアンインストールする前に、いくつかやっておいたほうがよいこともある。まずはパーツメーカー固有のユーティリティをアンインストールしよう。新旧ビデオカードのパーツメーカーが異なるなら、当然これもトラブルの原因になる。
また、万が一DDUを実行することで何かトラブルが発生した時に備えて、市販ソフトでシステムをバックアップしたり、Windows 11の復元ポイントを手動で作成しておくのもよいだろう。復元ポイントは、システムに重要な変更を加える前の状態を保存しておき、状況に応じて保存した状態に書き戻すという機能だ。備えは万全にしておきたい。
サインイン方法とアカウントの種類によって準備作業は変わる
DDUを実行する前に、普段Windows 11にサインインしているアカウントの状況を確認しよう。と言うのもDDUは基本的にセーフモードで利用するアプリなのだが、サインインしているアカウントの状況によってはセーフモードを利用できない。現状でどのようなサインインアカウントを使っているかで、準備作業が変わる。
【1】ローカルアカウントでサインイン
この場合は何もする必要がない。【2】と【3】に関する作業は行なわず、セーフモードの起動からDDUによるアンインストール作業に進もう。
【2】パスワードありのMicrosoftアカウントでサインイン
PINや指紋認証、顔認証といったWindows Helloの認証機能はセーフモードのサインインには利用できないため、DDUも利用できない。設定アプリからWindows Helloによる認証を無効にすると、Microsoftアカウントとパスワードを使ってセーフモードのWindows 11にサインインできる。
【3】パスワードなしのMicrosoftアカウントでサインイン
2と同じ理由でセーフモードにサインインできないのだが、こちらではそもそもパスワードも存在しない。そのため2で変更した設定項目を変更しても、その変更が有効にならない。
そのため現在サインインしているMicrosoftアカウントを、ローカルアカウントに切り換えて作業を進めよう。ビデオカードの変更が終わったら、Microsoftアカウントでのサインインに戻すのを忘れずに。
セーフモードで起動し、DDUを使ってアンインストール
アカウントの状態を確認したら、セーフモードで起動して作業を開始しよう。セーフモードへの入り方はいろいろあるが、今回は確実に入る方法として設定アプリからセーフモードを起動してみる。
DDUの作業自体は簡単だ。DDUを起動してアンインストールしたいチップメーカーを選択するだけでよい。作業が終わったらシャットダウンしてビデオカードを交換し、PCを起動して新しいデバイスドライバなどをインストールしていく。
設定アプリの[アプリ]から[インストールされているアプリ]で、NVIDIA関連のアプリが正しく削除されているかどうかを確認してみた。左はDDUによるアンインストール前で、右がアンインストール後だ。画像を見れば分かる通り、NVIDIA関係のアプリがきれいさっぱり消えていることが分かる。