特集
ニュースリリースで振り返る、時代を築いたPCたち【Microsoft編 Windows 3.0~95】
2025年6月2日 06:12
「パソコン業界 東奔西走」の番外編としてお送りしている特集企画「ニュースリリースで振り返る、時代を築いたPCたち」の第12回目は、OS編その1として、Windows 3.0、Windows 3.1、そして、Windows 95のニュースリリースを全文掲載する。
残念ながら、日本マイクロソフトには過去のニュースリリースが残っておらず、それらの入手はできなかったが、この当時は、PC-9800シリーズに対応したNEC版が用意されており、それらのニュースリリースを、NECのコーポレートコミュニケーション統括部の協力を得て入手することができた。
Windows 3.0
NECは、1991年1月23日に、Windows 3.0を発表した。ニュースリリースのタイトルが、PC-9800シリーズの新製品よりも、「日本語MS-WINDOWS(Ver3.0)」を前に表記している通り、Windows3.0の発表を重視していることが分かる。
NEC版Windows 3.0の価格は2万5,000円。1年間の販売目標は10万本という規模を見込んでいた。ニュースリリースでは、NECがWindows 3.0を日本で初めて投入したことに加えて、「OS/2 LANマネージャ」、「NetWare 386 v3.1」の販売を同時に開始したことも記している。
なお、Windows3.0は、米国では1990年5月に発表。日本では、NEC版に続き、DOS/V対応版などが発売されている。米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は、Windows 3.1の発売時に、「Windows 3.0は、日本では44万本の出荷に留まり、PC全体の20%で利用されたに過ぎなかった。決して幅広く利用されたわけではない」と振り返っていた。
Windows 3.1
1993年5月12日に、NECは、PC-9800シリーズに対応したNEC版「Windows 3.1」を発表した。NEC独自の機能として、FontAvenueの標準搭載による日本語の高品位な表示および印刷を可能にしたり、マルチメディア機能を強化したりといった点を訴求している。
この時、NECは、関本忠弘社長と米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が並んだ広告を新聞掲載。「日本のウィンドウズ時代は、私たちが創る」として、Windows時代もNECが市場をリードすることを宣言してみせた。
NECは、FD版とCD-ROM版を用意し、価格は2万1,800円。インストールモデルを含めて、年間50万本の出荷を見込んでいた。
なお、米国では1992年4月に正式発表されていたので、日本語版は約1年遅れとなった。NEC版の発売後、5月18日にマイクロソフトからもWindows 3.1が発売されている。当時、米国で先行発売したWindows 3.1は、すでに全世界の60%のPCで利用されており、Windows 3.1の日本での発売直後に来日した米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は、「1年半後にはすべてのDOS PCでWindowsが利用されることになる」と予測していた。
Windows 95
「Windows 95」が日本で発売されたのは1995年11月23日である。深夜0時には、東京・秋葉原に、Windows 95を求めるユーザーと、PC業界関係者、報道関係者などが数多く集まり、店頭でのくす玉割など、Windows 95の発売を盛り上げた。
NECは、発売直前となる11月21日にWindows 95を搭載したPC新製品のニュースリリースを発表。そこには、11月23日に向けたNECの強い思いが込められていることが分かる。新製品として、13機種36モデルを発表し、Windows 95の発売日には全国約1万店に10万台を配置。NEC版Windows 95のパッケージを、25万本を配置する計画も打ち出している。また、11月23日深夜には約300人の同社社員を秋葉原に派遣することも示した。
さらに、ニュースリリースの後半では、生産において、量産に対応した生産方式への移行、延べ5,000人の作業者の増員、新たな作業エリアの確保、1万2,000台のPCの保管が可能な臨時出荷センターを用意するとともに、11tトラックを140台も確保して、生産、出荷に万全の体制を敷いたことにも触れている。NECがWindows 95にかけた意気込みは並大抵のものではなかった。