パソコン工房新製品レビュー
映える、そしてコンパクト、ゲーミングPCはこれくらいがいい
~パソコン工房「LEVEL-M8A6-LCR99X-RLX」
2025年5月28日 10:00
パソコン工房の「LEVEL-M8A6-LCR99X-RLX」は、Ryzen 9 9900XとGeForce RTX 4060を搭載したBTO PC。ガラスサイドパネルとRGB LEDでドレスアップした新型ケースを採用する新生LEVEL∞ M-ClassのミニタワーゲーミングPCだ。
今回は、ミドルクラスのゲーミングPCであるLEVEL-M8A6-LCR99X-RLXのパフォーマンスを確認するとともに、新型ケースの採用でよりモダンかつスタイリッシュに進化したLEVEL∞ M-Classのビジュアルや機能にも注目して紹介しよう。
新しいLEVEL∞ M-Class専用筐体を採用したミニタワーゲーミングPC
パソコン工房のLEVEL-M8A6-LCR99X-RLXは、BTO PCブランドであるiiyama PCの「LEVEL∞ M-Class」に属するミニタワーゲーミングPCで、ガラスパネルとRGB LEDを導入したLEVEL∞ M-Class専用の新型筐体を採用している。
LEVEL-M8A6-LCR99X-RLXは、AMDの12コアCPU「Ryzen 9 9900X」とミドルレンジGPU「GeForce RTX 4060」というミドルクラスの構成を採用しており、Windows 11 Homeをインストールした標準構成時の価格は24万4,800円。
【表1】LEVEL-M8A6-LCR99X-RLXの主な仕様 | |
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CPU | Ryzen 9 9900X(12コア/24スレッド) |
GPU | GeForce RTX 4060 8GB |
メモリ | 16GB DDR5(8GB×2) |
SSD | 1TB NVMe SSD(PCIe 4.0 x4) |
マザーボード | AMD A620 チップセット搭載マザーボード(microATX) |
CPUクーラー | 【RGB LED イルミネーション】240mm 水冷CPUクーラー |
電源ユニット | 750W(80PLUS Bronze) |
PCケース | ガラスサイドパネル搭載microATXミニタワー(ブラック/ホワイト) |
ケースファン | 12cm RGB LED イルミネーション ケースファン×5個 |
OS | Windows 11 Home |
本体サイズ | 206×432×411mm |
価格 | 24万4,800円~ |
新型のLEVEL∞ M-Class専用筐体では、コンパクトでカスタマイズ性に優れる従来モデルのコンセプトを踏襲しつつ、左サイドパネルをガラスパネル、筐体内の換気を担うケースファンをRGB LED搭載モデルとすることで、モダンなゲーミングPCらしいビジュアルを実現。また、従来は黒のみだった筐体カラーに白が追加され、購入時に好みのカラーリングを選択できるようになった。
12コアのハイエンドCPUであるRyzne 9 9900Xを搭載するLEVEL-M8A6-LCR99X-RLXは、CPUクーラーにLEVEL∞オリジナルデザインの簡易水冷クーラーを標準搭載。この水冷クーラーは240mmサイズのラジエータを備えており、ケースのフロント側に取り付けられたラジエータには2基のRGB LEDファンを搭載。フロントから取り込んだ空気でラジエータを冷却する仕組みとなっている。
見るからに冷却性の高そうな水冷クーラーだが、TDP=120WのハイエンドCPUであるRyzen 9 9900Xをどこまで冷やせるのかに注目だ。
5基のケースファンと簡易水冷クーラーに搭載されたRGB LEDはケース側で制御されており、天板前方に配置されているLED切り替えスイッチを押すことで発光パターンや色を変更できる。なお、切り替えスイッチを長押しすることでLEDを消灯することも可能だ。
選択可能な発光パターンやカラーはそれほど多くないが、一括制御されているため同期のとれたLEDイルミネーションを楽しめるのが特徴だ。レインボーカラーで派手に光らせることもできるが、単色で落ち着いた雰囲気のライティングを選択してみるのも良いだろう。
LEVEL-M8A6-LCR99X-RLXのパフォーマンスをチェック
ここからは、LEVEL-M8A6-LCR99X-RLXのパフォーマンスをベンチマークテストやゲームを用いて検証する。
テスト環境は以下の通りで、室温約25℃の室内で計測を行なった。なお、CPUの動作リミットなどはLEVEL-M8A6-LCR99X-RLXの標準設定であり、最大で162Wの電力消費を許容するRyzen 9 9900Xの標準的なリミット設定が適用されていた。
【表2】テスト環境 | |
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CPU | Ryzen 9 9900X(12コア/24スレッド) |
CPU動作リミット | PPT=162W、TDC=120A、EDC=180A、TjMax=95℃ |
GPU | GeForce RTX 4060 8GB(PCIe 4.0 x8) |
GPUドライバ | Game Ready Driver 576.52(32.0.15.7652) |
メモリ | 16GB DDR5-5200(8GB×2) |
システム用SSD | 1TB NVMe SSD(PCIe 4.0 x4) |
マザーボード | ASRock A620M(BIOS=3.10.MS36.P) |
電源 | 750W(80PLUS Bronze) |
OS | Windows 11 Pro 24H2(build 26100.4061、VBS有効) |
電源設定 | 電源モード「バランス」、電源プラン「バランス」 |
計測 | HWiNFO64 Pro v8.26、ラトックシステム「RS-BTWATTCH2」 |
室温 | 約25℃ |
PCMark 10 Extendedの実行結果
まず実行したのは、PCの総合的なパフォーマンスを計測するPCMark 10。もっともテスト項目の多いExtendedテストを実行した結果が以下のグラフだ。
LEVEL-M8A6-LCR99X-RLXは、総合スコアとすべてのサブスコアで10,000を超えるスコアを記録。これは、CPU性能とグラフィックス性能の両面で優秀なパフォーマンスを発揮したことを示すものであり、ミドルクラスのゲーミングPCに相応しい結果だ。
CPUベンチマーク&クリエイティブ系テストの結果
CPU性能を計測するベンチマークテストと、GPUも活用するクリエイティブ系ベンチマークテストを実行した結果をまとめて紹介する。
LEVEL-M8A6-LCR99X-RLXが搭載するRyzen 9 9900Xは、CPUの3DCGレンダリング性能を計測するCinebench 2024において、Single Coreで「135」、Multi Coreでは「1,658」を記録。
現在のデスクトップ向けCPUとしてはトップクラスのシングルスレッド性能と、12コアCPUならではの優れたマルチスレッド性能を両立しており、稼働スレッド数ごとの性能を計測する3DMarkのCPU Profileや、Blender BenchmarkでもRyzen 9 9900Xの性能をフルに発揮していると言えるスコアを記録した。
また、GPUで3DCGレンダリングを実行したBlender Benchmarkでは、GeForce RTX 4060がRyzen 9 9900Xの6倍以上という圧巻のレンダリング速度を記録。ゲーミングPCに分類されるLEVEL-M8A6-LCR99X-RLXだが、クリエイティブ用途への適正も高い。
3DMarkのゲーム系テストにおけるパフォーマンス
3DMarkのゲーム系テストの中から、Speed Way、Steel Nomad(同Light)、Port Royal、Solar Bay、Wild Life(同Extreme)を実行した結果が以下のグラフ。
LEVEL-M8A6-LCR99X-RLXが各テストで記録したスコアは、GeForce RTX 4060搭載PCとしては平均的なものであり、搭載GPUから期待される通りのパフォーマンスを発揮したと言える結果だ。
ゲームでのパフォーマンスを計測
実際のゲームや、ゲームエンジンを用いたベンチマークテストを実行した結果を以下にまとめて紹介する。なお、今回はGeForce RTX 4060がターゲットとするフルHD/1080p解像度でのテストを基本とし、負荷の軽いゲームではWQHD/1440pでのテストも実行した。
GeForce RTX 4060はVRAM容量8GBのミドルレンジGPUであるため、モンスターハンターワイルズやアサシン クリード シャドウズの最高画質設定では、VRAM容量やGPU性能の不足によってフレーム生成を用いても60fpsを割り込む結果も見られるが、これら新作AAAタイトルでも画質設定を調整すれば十分にプレイ可能なパフォーマンスを得られている。
また、比較的GPU負荷の軽いFPS系のタイトルでは、100fpsを大きく超えるフレームレートを実現している結果が得られている。CPUのRyzen 9 9900Xは特別ゲーミング性能に優れたCPUと評価されているわけではないが、明確にCPUボトルネックが生じたVALORANTでも300fps以上を実現していることから、多くのゲームをプレイするのに十分な性能を備えていると言える。
新型筐体を採用したLEVEL-M8A6-LCR99X-RLXの冷却性をチェック
最後に、LEVEL∞ M-Class専用の新型筐体を採用するLEVEL-M8A6-LCR99X-RLXの冷却性を高負荷テストの結果から確認してみよう。なお、計測は室温約25℃の環境下で実施した。
CPUの全コアに高負荷が生じるCinebench 2024「CPU(Multi Core)」実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフ。
CPUは上限温度の95℃を大きく下回る平均72.2℃(最大74.2℃)となっており、CPU消費電力がリミットの162Wに張り付く最大限のブースト動作を維持している。LEVEL∞オリジナルデザインの水冷クーラーが見事な冷却性能を発揮した結果だ。
GPUに高負荷が生じる3DMarkの負荷テスト「Steel Nomad Stress Test」を実行した結果が以下のグラフ。
GPU温度は上限の83℃に達しているが、GPUクロックはベースクロックの1,830MHzを大きく超える平均2,527MHzを維持している。
なお、ケースのサイドパネルを開放して同じテストを実行してみたが温度や動作クロックに変化はなく、テスト開始から5分以降はGPUクロックがほぼ変化していないことを合わせて考えると、GPUが温度上限に達しているのはビデオカード自体の仕様によるもので、ケースの換気能力自体はRyzen 9 9900XとGeForce RTX 4060の発熱に十分対応できていることが伺える。
よりモダンなゲーミングPCに進化したLEVEL∞ M-Class
LEVEL-M8A6-LCR99X-RLXは、新作AAAタイトルをプレイ可能なゲーミング性能と、クリエイティブ用途にも好適なCPU性能を備えたミドルクラスゲーミングPCであり、コンパクトなミニタワーケースを採用しながらも、高い性能とカスタマイズ性を備えるというLEVEL∞ M-Classのコンセプトは新型筐体でも健在だ。
今回紹介したLEVEL-M8A6-LCR99X-RLXは用途を問わず高い性能が得られるパーツ構成を採用していたが、新型筐体を採用したLEVEL∞ M-ClassにはGeForce RTX 50シリーズやRadeon RX 9070 シリーズを搭載したゲーミング特化モデルもラインナップされている。
コンパクトなミニタワーゲーミングPCに興味があるなら、ガラスパネルとRGB LEDの採用でよりモダンなビジュアルに進化したLEVEL∞ M-Classのラインナップをチェックしてみると良いだろう。