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CrowdStrikeの悲劇は、もう繰り返さない。Windows 11に新しい回復機能実装へ

Quick Machine Recoveryの選択肢

 Microsoftは6月2日、Windows 11 Insider Preview「ビルド26200.5622」をDevチャネル向けに順次提供開始した。新たな回復機能となる「Quick Machine Recovery」がDevチャネルでも段階的に利用可能となるほか、Click to Doの新アクション追加などが実施されている。

 Quick Machine Recoveryは、2024年11月に開催された「Ignite 2024」で発表された、より安全で安定的なWindowsの動作を目指す同社の取り組み「Windows Resiliency Initiative」の1つとして導入されるもの。2024年7月に発生したCrowdStrike製品による大規模障害の教訓から生まれた機能で、2025年3月にはBetaチャネル向けに先行実装されていたが、今回Devチャネル向けにも展開が始まったかたち。

 Quick Machine Recoveryは、従来のスタートアップ修復で使われるWinRE(Windows Recovery Environment)を基盤としており、特にOS起動に関する大規模な障害が発生した際などでも、Microsoft側で即座に対応し、Windows Updateを介した修正を展開できる仕組みとなっている。

 具体的には、正常に起動できない重大な障害が発生すると、デバイスはWinREに移行。ネットワークに接続して、Microsoftの回復サービスと通信できる状態になる。Microsoft側では、障害が起きているデバイスからクラッシュデータを受け取って分析し、原因を特定。また、これが広範囲な障害だと判明した場合、社内で即座に対策チームが設置され、修正パッチの準備が進められる。

ネットワークへの接続が可能となる
一定間隔で解決策を自動的に検索して適用する機能を搭載している

 その後対策パッチはWindows Updateを経由して展開され、デバイスはこれを適用して障害から回復する。その時すぐに解決策が見つからない場合でも、システムを一定間隔で解決策の検索の再試行を繰り返す「自動修復」オプションも用意されている。

Quick Machine Recoveryのアルゴリズム

 設定アプリには専用のページも設けられ、システム→回復の中からアクセス可能。Quick Machine Recovery機能の有効/無効化のほか(無効の場合は従来と同じローカルでのスタートアップ修復)、自動修復やその頻度、必要な修復を適用する際の再起動のタイミングなどを設定できる。

 なお、Homeエディションではクラウド経由での修復がデフォルトでオンになるが自動修復はオフ、ProおよびEnterpriseエディションではいずれもオフとなっており、組織がニーズに合わせて構成する。

Quick Machine Recoveryの設定画面

 これ以外にも、ビルド26200.5622ではAI機能「Click to Do」の「Draft with Copilot in Word」(Copilotを使ってWordで下書きを作成)のアクションが加わったほか、ウィジェット内で複数のダッシュボードが利用可能となるなど、機能追加や改善が行なわれている。

Draft with Copilot in Word
ウィジェット内で複数のダッシュボードが利用可能に